ロシア鋼管最大手TMKの米国子会社ISCOチューブラーは8日、ニューヨーク(NY)証券取引所における新規株式公開(IPO)を取りやめると発表した。市況が不安定なことを理由に挙げているが、先月末に米国政府が対ロシア制裁強化を見送ったことが背景にあるとの見方も浮上している。
IPO計画は、対ロシア制裁強化に関する政府発表が予定されていた先月30日の前日に明らかにされた。TMKの経営権を握る富豪、ディミトリー・プンピャンスキ氏は、米財務省が公開した「プーチン大統領に近い人物のリスト(俗称:「オリガルヒ・リスト」)」に載ったが、同省がリストアップされた人物への制裁を見送ったため、当面、TMKの米国事業は従来通り運営できる見通しとなった。