ルサール株価が暴落、米国の対ロ制裁強化で

米国政府による6日の対ロシア制裁拡大を受け、週明けのモスクワ証券取引市場はアルミ大手ルサールの株価が一時47%暴落するなど、荒れもようとなった。金融大手2社のズベルバンクとVTB銀行は最大でそれぞれ17.3%、9.1%下げ、通貨ルーブルの対米ドル相場も4%安となった。ようやく回復し始めたロシア景気の障害になる可能性が指摘されている。

今回の対ロ制裁拡大はロシアの米大統領選挙への介入疑惑を受けたもので、政治家や実業家、企業あわせて数十人・社が制裁対象に加わった。ルサールは会社自体のほか、筆頭株主のデリパスカ氏が制裁リストに載ったため、米ドル建て債務が「テクニカル・デフォルト(返済能力はあるが資金調達困難などで契約条件を守れなくなった状態)」となる可能性があると認めた。これが大幅な株安につながった。

ルサールは金利5%前後のドル建て債を11億ドル以上発行しており、2022年と23年に償還期限を迎える。ドル建て債務総額は77億ドルに上る。直近の問題は、制裁により米国銀行との取引がストップし、利払いができなくなる懸念があることだ。ただ、ルサールは債務関連の年間支出6億ドルに対して、現在9億9,300ドルの流動資金を保有しており、直ちにデフォルトとはならないとみられる。

今回、ルサールが制裁対象となったことで、どのロシア企業でも制裁により米国市場へのアクセスを失いかねないというシナリオが現実性を帯びてきた。一方でロシアと取引が多い欧米企業の株価や、ルサールが世界需要の6%を供給するアルミ価格などへも影響が波及するなど、米国の制裁はロシア以外にも波紋を広げている。

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