国が豊かになる条件~エストニア

「国が豊かになるには、自由貿易、財と契約の履行を保証する司法制度、通貨の安定が必要不可欠。それを体現しているのがエストニアだ。」――米国経済教育財団(FEE)に寄稿したルイスパブロ・デラホラ氏(金融学)がこんな見方を提示した。

確かに、欧州の北東に位置する小国、エストニアは独立後30年もたたないうちに国民の生活水準を大幅に向上させた実績がある。財政赤字は国内総生産(GDP)比でわずか9.5%に過ぎず、失業率は欧州連合(EU)平均を大幅に下回る5.8%。平均寿命は1994年の66歳から2016年には77歳に伸びた。

デラホラ氏によると、政府が一貫して、市場経済の実現に向け改革を進めたのが奏功した。具体的には、通貨改革、自由貿易圏(=EU)への参加、均衡財政、国営企業の民営化、所得・法人税率の一律化などで、その例にならえば「どの国でも暮らしが豊かになる」と楽観的だ。

独ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス研究所のマルクヴァート理事長はこれに加えて、エストニアが「小国」だったことが改革実現にプラスだったとみる。エストニアの独立と同じ1991年に共産党独裁が終焉したロシアはその点で好対照だ。

広大な国、ロシアでは抗議デモに参加したり、何かをボイコットしたり、行動を通じて意見を表明することが難しい。行政・統治機関と国民との距離も大きい。

しかし、エストニアは国民の顔がみえるところに政治家がいるため、国民のためになる政治が実現しやすい、というのがその主張だ。

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