独イノジー、チェコ事業売却を計画

独RWEグループ傘下のエネルギー大手イノジーがチェコ事業の売却を計画している。同社は20日、同国事業の取得に関心を示す匿名の投資家に対し、デューディリジェンス(財務審査)に必要な情報・資料を公開すると発表した。関係筋によると、当該の投資家は豪金融大手のマッコーリーで、イノジーが持つ再生可能エネルギー事業の一部についても関心を示している。マッコーリーはすでにイノジーのチェコ天然ガス網事業に49%を出資している。

今回のイノジーの計画は、RWEと独同業エーオンの事業交換取引に影響を及ぼす可能性がある。両社は先月、事業交換で合意し、イノジーをエーオンが受け継ぐことなどを取り決めた。イノジーのチェコ事業売却の可能性は交換契約に織り込み済みだが、それ以外の資産が売却されるとエーオンとRWEの間で改めて交渉が必要となり、事業交換の遅れや取り消しが生じ得る。

背景には、事業交換後にイノジー従業員を5,000人削減すると予告したエーオンのタイセン社長と、これを防ぎたいイノジーのティッゲス社長とのせめぎ合いがある。マッコーリー銀との取引の可能性を切り札に、ティッゲス社長がタイセン社長から「経営上の理由でイノジー社員を解雇しない」という約束を引き出す狙いがあるとみられている。

チェコはイノジーにとって重要市場の一つ。天然ガス網・貯蔵基地運営、ガス・電力供給で大きな利益をあげている。

RWEはイノジーの多数株を抑えているが、事業売却を防ぐ権限を持たない。

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