ロシア南部クラスノダール地方とウクライナのクリミア半島を結ぶケルチ海峡大橋が15日、予定より半年早く開通した。ロシアとクリミア半島を直接結ぶ道路・鉄道を整備し、クリミア半島の編入を既成事実化したいロシア政府の思惑を反映したものだ。開通に当たってはプーチン大統領自らがトラックを運転して横断した。
ケルチ海峡大橋は全長19キロメートルで、ポルトガルのバスコ・ダ・ガマ橋(17.2キロメートル)抜いて欧州最長の橋となった。総工費は2,230億ルーブル(36億米ドル)。道路は16日から通行できるが、鉄道の運行は年末からとなる。
ロシアは2014年、一方的にクリミア半島を編入した。陸路でクリミア半島に向かうにはウクライナを経由するしかないため、編入直後から架橋する計画を明らかにしていた。
これまでロシアからの輸送は空路と海路に限られ、道路輸送は連絡船頼りで長い待ち時間が必要だった。加えて冬季は天候不良で欠航することもあり、橋の開通が待たれていた。
一方、ウクライナ側は、「新橋建設で環境が打撃を受けたほか、アゾフ海沿いにあるウクライナの港に大型船が寄港できなくなった」と非難している。
クリミア半島編入を機に欧米諸国は対ロシア制裁を実行し、欧米とロシアの関係は急速に冷却した。制裁措置では、架橋工事を受注した建設会社ストロイガズモンタズとそのオーナーであるアルカディ・ローテンベルグ氏も対象となっている。(1RUB=1.77JPY)