英石油大手BPは2日、アゼルバイジャンのシャーデニス・ガス田からトルコなどに向けた天然ガスの輸送を開始したと発表した。同ガス田はカスピ海からロシアを経由せずに欧州に天然ガスを輸送する「南ガス回廊」の起点にあたる。ジョージアとトルコを経由してイタリア南部までを結ぶ3つのパイプラインから成る同回廊は総延長3,500キロメートル。年間輸送量は2020年までに100億立方メートルに達する見通しだ。
BPのダッドリー社長は、「南ガス回廊とシャーデニス・ガス田は欧州の新たなエネルギー供給源になると共に、調達先の多様化につながるものだ」と述べた。
世界最大規模を誇る同ガス田の確認埋蔵量は1兆立方メートルを上回る。開発プロジェクトへは28.8%の権益を持つBPのほか、トルコ国営石油会社のTPAO(19%)、ベネズエラの国営ペトロナス(15.5%)、ロシアの石油大手ルクオイル(10%)などが参加している。採掘開始は2006年で、年間生産量は最大で260億立方メートルに達する見通し。
南ガス回廊は、アゼルバイジャンからジョージアを経由してトルコに至る「南コーカサスパイプライン」(SCP)、トルコのアナトリア高原を通りブルガリア国境までを結ぶ「アナトリア横断パイプライン」(TANAP)、ブルガリアからアドリア海を経由してイタリアまで輸送する「アドリア海横断パイプライン」(TAP)によって構成されている。