ロシアでは外国への移住を希望する若者が多い。国営世論調査会社のVTsIOMの調べによると、18~24歳の31%が「移住したい」と思っている。ウクライナ紛争でナショナリズム意識が高まった2014年に比べると10ポイントも上昇した。
カーネギー・モスクワ・センターのタチャーナ・スタノヴァヤ研究員は、「ここ数年、生活が揺れ動き、先に何が起こるかわからないという見方が広まっているのが背景にある」と分析する。西欧との関係悪化に不安を覚えているところに、政府がどんな未来を築こうとしているのかがわからない、という不透明さも追い打ちをかけている。大卒でも高給を得るのは難しく、外国に将来を見出そうとする若者が増えているという。
今の若者世代は、ソ連崩壊後に生まれた。年上世代に比べると飲酒量も少なく、寿命も延びると予想されている。そして、自由な社会で育った彼らはインターネットやソーシャルネットワーク(SNS)を使いこなし、「外」の世界を身近に感じている。
しかし、実際に移住するのは簡単ではない。特に「西側」へ渡るのは、言葉の問題に加えて査証(ビザ)取得も難しく、2017年の国外移住者37万7,000人のうち数万人を占めたに過ぎない(ロシア連邦統計局データ)。
一方で旧ソ連の独立国家共同体(CIS)への移住者は32万1,000人と圧倒的な割合だ。これらの国では、ロシア語が公用語である国もあり、ロシア語が通じやすいという事情がある。
ロシアは人口の減少が進んでおり、国際労働機関(ILO)の予想では2050年までに現在の1億4,700万人から1億3,000万人へ縮小する。外国からの移民では人口減が補えない段階に入っており、ロシア経済は投資を通じた効率化をぜひとも実現しなければならなくなっている。