トルコが米をWTOに提訴、両国の対立先鋭化

2018年8月22日発行 No.1077号

トルコと米国の対立がエスカレートしている。トルコ政府は20日、鉄鋼・アルミニウムに対する米国の追加関税に対し、世界貿易機関(WTO)で提訴の手続きを開始した。米国の措置が「緊急輸入制限協定(セーフガード協定)や関税貿易一般協定(GATT)に違反する」と主張している。一方の米国も、トルコで拘束されている米国人牧師が解放されなければ追加制裁を科す可能性を警告しており、問題収束の糸口は見えていない。

今回の提訴についてはWTOの紛争解決手続き規定に基づき、まずは両国間協議を通じて解決を探ることになる。60日以内に結果が出ない場合、トルコは専門家を集めた紛争解決小委員会(パネル)による審理を求めることができる。

トルコと米国の関係は、トルコに住む米国人牧師の拘束問題などをめぐって悪化した。米国が今月10日、トルコからの鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ50%、20%の追加関税を課したことを機に、トルコは通貨リラが下落し、通貨危機の懸念が高まった。これを受け、トルコは15日に米国産のアルコール飲料や乗用車などに対して報復関税を課すと発表。リラは一時持ち直したものの、17日には米格付け大手のS&Pグローバル・レーティングスとムーディーズが揃ってトルコ国債を格下げし、同国が2019年に景気後退に陥る可能性を指摘した。

渦中の牧師は、米ノースカロライナ州出身のブランソン牧師で、20年前からトルコで暮らしている。2016年のクーデター未遂事件を起こした反政府勢力を支援した罪に問われ、約20カ月の収監の後、7月下旬に自宅軟禁に移された。自宅軟禁と渡航禁止の解除を求めていたが、今月15日にイズミルの裁判所が申請を却下した。

トランプ大統領はキリスト教福音派(プロテスタント保守派)を重要な支持基盤としており、11月の中間選挙を前にブランソン牧師擁護の姿勢を強めている。

■トルコとカタール、通貨交換協定を締結

トルコ中央銀行は17日、カタール中央銀行と通貨交換(スワップ)協定を結んだ。自国の通貨を互いに融通しあう内容で、通貨危機の懸念が膨らむトルコに流動性を供給し、同国金融システムの安定を図る狙い。15日に150億米ドルの直接投資を表明したのに続く支援策となる。

トルコは巨額の経常赤字を抱えるほか、インフレ率が上昇を続け、7月に15.9%を記録した。今月10日に米国がトルコからの鉄鋼・アルミの輸入関税を2倍に引き上げたのを機にリラが急落し、13日には史上最安値の1ドル=7リラ台まで売り込まれた。

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