ハンガリーは自動車大手の進出先として高い人気を誇る。ドイツのオペル、アウディ、メルセデスベンツ、日本のスズキが工場を操業するほか、最近では独BMWが東部のデブレツェンに10億ユーロを投資して生産拠点を整備することを発表したばかりだ。能力のある人材が豊富で人件費が安いうえ、労働組合が弱いという事情や、政府の積極的な投資奨励策、部品メーカーの多さが有利に働いている。
ハンガリー自動車工業会のキリアン専務理事によると、中東欧の賃金水準は西欧のわずか3分の1に過ぎない。ハンガリーは効率性や生産性でも優れ、地の利にも恵まれている。さらに、インフラの整備が進んでいることや、高速道路網が充実していることも長所だ。教育システムも最新技術に対応できる人材が育つよう工夫を重ねているという。
大手自動車メーカーの工場がある地域では人材不足が深刻だが、BMWについてはその心配はなさそうだ。デブレツェンのある東部は比較的失業率が高い上、ドイツの自動車メーカーで働くのを名誉と考える人が多いためだ。
一方でオペルは仏PSAグループに買収された昨年、セントゴットハルド工場を閉鎖する可能性が浮上したが、政府がPSAと交渉を開始した今年3月、存続決定が報道された。ただ、これに至った詳細は明らかにされていない。