露ルサールなど、米国制裁の実施延長

米国財務省は21日、ロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏に関連して経済制裁対象となったアルミ大手ルサール、Enプラス・グループなど8社に対する制裁措置の実施を来月23日から11月22日に延期したことを明らかにした。これら企業の株主構成が変更され、制裁対象から外れる可能性があるためで、実施延期で検討に必要な時間を十分に確保する。ただ、自動車製造のGAZについては従来通り来月23日のままとする。

デリパスカ氏が経営権を握ってきた持ち株会社Enプラスは今月4月、米国の対ロシア追加制裁で同氏が制裁対象に加えられたのを受けて、同氏の出資比率を50%未満に引き下げ、取締役の半数を新たに迎える独立取締役とする方針を打ち出した。財務省はこの計画が制裁解除の条件を満たすかどうかを審査・検討しており、今回の実施延期は少なくとも解除の可能性が残っていることを示している。

Enプラスが過半数出資するルサールは、制裁対象になるかどうかが決まらないまま、アルミ企業が需要家と来年の供給条件を交渉するシーズンを迎えてしまい、受注したくても身動きできない状況にある。

米国アルミ協会によると、同国の1次アルミ市場におけるルサールのシェアは約12%。4月の追加制裁発表時には、企業がルサールに代わる供給元を探す動きが活発化したが、財務省が期限の延長や成約済み案件の履行を認めたことから、市場が落ち着きを取り戻した経緯がある。

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