トルコ経済が急速に冷え込んできた。景況感を示す鉱工業信頼指数(RSCI)は8月に前月を6.8ポイント下回る89.6となり、09年4月以来の低水準に落ち込んだ。中央銀行の発表によると季節調整後でも前月の96.3から90.4に低下した。通貨リラの急落で、1月(110.9)の楽観ムードから一本調子で悪化し、景況に悲観的な見方が強まっている。
RSCIは100を超えると事業展開が良好、100を下回ると悪化の観測を示す。構成指数をみると、現況指数は1~3月に100を維持したが、8月は55.6まで低下した。国内需要の冷え込みで、現況受注指数は前月の88.8から77.6に、過去3カ月受注指数は100.8から82.7にそれぞれ低下した。設備稼働率も前月の77.8%から76.2%に下がり、過去2年半で最低となった。
これまで経済成長に大きく貢献してきた建設業にも陰りが出ている。受注減少や資金繰りの悪化などで、9月の景況感は前月を16.7ポイント下回る57.3に落ち込んだ。人件費や材料費の高騰でコストが大幅上昇していることも負担になっている。政府が2021年までの中期経済計画で新規インフラ開発の凍結を決めたため、業界の需要冷え込みはさらに深刻化しそうだ。
インフレ率はリラ急落を受け、年初の10%超から8月には17.9%まで上昇した。エルドアン大統領の利上げけん制圧力が強まる中、中央銀行が9月13日に6.25ポイントの大幅利上げを行い、ひとまずリラ下落にブレーキがかかった格好だが、国内経済にはすでに大きな打撃を与えている。