日立キャピタルは18日、ポーランド子会社を通じて同国の自動車リース会社プライム・カー・マネジメント(PCM)に対する公開買い付け(TOB)を開始したと発表した。戦略分野である自動車関連の総合サービス「ビークルソリューション」事業を強化する狙い。買収に成功すれば、ポーランド全国で質の高いサービスを提供できるようになるとしている。
公開買い付けの対象となるのは発行済株式のすべて。価格は1株当たり12.09ズロチで、100%取得した場合の費用は約1億4,400万ズロチ(約43億2,000万円)に上る。66%以上の株式応募を取引成立の条件としている。買付期間は来月18日まで。
PCMはグダニスクに本拠を置き、「マスターリース」ブランドで事業を展開する。2017年には完全インターネットベースの自動車サブスクリプション(定額制)サービスを開始し、ユーザーが選んだ車に「15分以内に乗れる(同社)」態勢を整えた。
主な株主は英系アビバPTE(15%)、地場系PTE PZU(11.8%)、蘭系のアエゴンPTE(11.4%)とNN PTE(8%)、米フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ(7.1%)など。
PCMの2018年9月末現在の管理車両数は3万5,873台で1年前に比べて10.6%増加した。1-9月期の売上高は5億1690万ズロチ、税引き前利益は1億1,249万ズロチ、純利益は9,080万ズロチだった。1株当たり利益は0.76ズロチだった。
2011年以来、最終損益でこそ黒字を確保しているが、純現金収支(フリーキャッシュフロー)は赤字、債務も過去4年で3倍に膨らんでいる。
国内大手金融機関のPKOバンク・ポルスキ(PKO BP)も、PCM全株式を1株当たり11.38ズロチで買収する公開買い付けを実施中で、来月15日に応募を締め切る。
日立キャピタルは自動車事業を戦略分野と位置付けて、自動車金融に加え、メンテナンスや保険など関連サービスを組み合わせた総合サービス「ビークルソリューション」の展開を目指している。ポーランドでは2014年に自動車リース会社コーポ・フロータを買収し、子会社化した。
このほかにも昨年にオランダで2社、今年初めにドイツで1社の自動車リース会社を買収しており、積極的に事業を拡大している。(1PLN=29.06JPY)