野良猫を救え~ロシア

ロシア人は猫好きだ。独調査会社ダリアによると、猫を飼っている人の割合は59%と世界で一番多い(日本は16%)。猫への愛は自分の飼い猫だけにとどまらず、野良猫を救う運動家に協力する政治家も出始めた。

運動家の活動は野良猫にエサをやったり、病気の猫を保護して去勢手術をしたのちに飼い主希望者を募ったりといったことにとどまらない。不動産業で働いていたという40代の男性は、モスクワ北部の団地で「猫が地下室に閉じ込められている」という通報を受けて、問題の地下室の小窓に取り付けてある鉄格子を壊し、猫が脱出できる隙間を作った。

工事中に閉じ込められた猫を壁を壊して脱出させたり、集合住宅の通気口の覆いをとって猫の出入り口を確保し極寒の冬を乗り越えられるようにしたりと、少々手荒なこともするが、警察も「猫を助けるため」というと目をつぶってくれるらしい。

猫愛好家の数多くの抗議行動や抗議文書、ソーシャルメディア・キャンペーンを受けて、政治家も動き出した。モスクワの副市長は昨年夏、公的住宅管理会社に「小さなペットが小窓や通気口から地下室に出入りできるようにする」旨、通達した。

下院環境委員会のブルマトフ委員長は、猫愛好家の要求の核となっている不妊去勢手術運動に賛成している。ロシアでは猫の不妊去勢手術が一般的でなく、猫の増えすぎが問題だ。このため、野良猫を一時的に捕獲して手術・予防注射を受けさせ放すのが、最も人道的かつ合理的な方法と考えられている。

政治家が「猫問題」を取り上げることについては、「人気取り」という見方もあるが、運動家は「それでもいい」と現実的。実効性のある対策実施で猫の数が減れば、目標が達成できるからだ。

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