スロバキア政府は6日、米チップメーカーのタキャム(Tachyum)のマイクロプロセッサー開発計画に対し、1,500万ユーロの融資を閣議決定した。金利は年4%で、返済期間は10年。研究開発センターの整備に使われる予定だ。
タキャムは高性能かつ消費電力の小さい汎用マイクロプロセッサーの開発を進めている。同社は世界で唯一、データセンター、高性能演算処理、人工知能(AI)のいずれにも使うことができるマイクロプロセッサー技術を有しているといい、スロバキアとしては同社支援を通じて自動車以外の技術産業の育成につなげたいところだ。
タキャムのラドスラフ・ダニラーク社長によると、世界の電力消費に占めるネットサービス産業の割合は2.5%。これは英国の電力消費の1.4倍にあたり、二酸化炭素(CO2)排出量で空運業界を上回る。IT産業が年15%成長すると2030年には世界電力消費の10%、40年には40%を占める計算になるが、従来品の10分の1の電力で機能するタキャム製品の採用で、消費拡大を抑えられるとしている。
タキャムのスロバキア進出は米国の保護主義政策を嫌気したもので、研究開発センターのほか、欧州・中東・アジア営業サービスセンターの設置も検討している。