バルト3国縦断鉄道計画レール・バルティカ、計画遅延も運行計画は策定

バルト3国を経由してフィンランドと独ベルリンを結ぶ鉄道敷設プロジェクト、「レール・バルティカ」の動きが停滞している。現時点では利害関係者間の調整が難航しており、完成予定の2026年には間に合わない状況だ。そうした中、今年3月に事業を担当する合弁会社が完成後の運行計画を提出したほか、先月には同社に新しい最高経営責任者(CEO)が就任しており、プロジェクトの前進に向け現状の打開が期待されている。

『International Transport Journal』誌などによると、提出された2056年までの運行計画書には、エストニアのタリンとポーランドのワルシャワ間を結ぶ旅客及び貨物輸送の運行本数などが含まれる。それによると、運行されるのは高速旅客車両、夜行列車及び貨物車両で、タリン-ワルシャワ間並びにタリン-ヴィリニュス(リトアニア)間それぞれの便数は当初1日4便、その後6便まで増便するとされている。貨物列車の本数は1時間に2便から3便。列車1編成の長さは1,050メートル、最高速度は時速120キロメートルで、1車両あたりの積載重量は最大25トン。貨物列車の80%を複合輸送が可能な仕様とする予定だ。

同計画にはルート上の都市として、エストニアのムウガ、ラトビアのサラスピルス、リトアニアのパレモナスが含まれる。バルト海沿いのムウガには港湾設備がありフィンランド側に船舶輸送を行うことが可能となっている。

現時点でのレール・バルティカの総事業費は60億ユーロ弱。そのうち85%を欧州連合(EU)が負担する。しかし今後数年間で費用はさらにかさむ見通しで、リトアニアのマシウリス運輸相はEUに対し、同国のカウナスと首都ヴィリニュスの区間に関する資金支援を求めている。いずれにしても利害関係者間の調整は容易ではなく、同事業の完成は2030年となる見通しだ。

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