米ムーディーズ、トルコを格下げ

米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは14日、トルコの信用格付けを従来の「Ba3」から「B1」へ一段階引き下げた。見通しは「弱含み」。国際収支の悪化にともない、債務不履行(デフォルト)のリスクが高まっているためだ。「B1」は「投機的」カテゴリーのうち上から4番目の等級。トルコ政府は格下げを「経済好転を示す指標を無視したもの」と強く反発している。

ムーディーズは、「トルコにおける政府機関・政治システムの信用が低下し、トルコ本来の強みである経済の多様性と国家債務の小ささを以ってしても投資家・国民の懸念をぬぐえないところまで状況が悪化している」と分析。「外貨準備高も不十分で、外的要因が甚大な影響を及ぼす可能性が強い」と指摘した。

政府の経済政策については、「短期的な景気テコ入れを優先するばかりに、経済・金融システムの弱体化を招いている」と厳しく批判した。さらに、ロシア製防御ミサイルシステムの調達をめぐり、米国が対トルコ制裁の可能性を考慮に入れている事実も「影を落としている」と指摘した。

トルコが債務履行・経済成長に必要な巨額の資金を市場で調達し続けられるかどうかについては、市場でも疑問視する声が強い。独『ヴェルト』紙によれば、「5年以内に債務不履行となる」可能性は28%と見積もられている。

通貨リラは今年も対ドル相場が年初以来10%下がり、国民の懸念は強まるばかりだ。外貨建て預金額がリラ建てを上回った事実がこれを示している。

ムーディーズは前回、昨年8月にトルコ信用格付けを「Ba2」から「Ba3」へ引き下げたばかり。

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