ボスニアのアルミ精錬企業、アルミニー・モスタルが10日、操業を停止した。料金未払いのため前日夜から当日にかけて電力供給が途絶した模様だ。多額の負債にあえぐ同社を巡っては、スイスの資源商社グレンコアと地元政府が支援策をめぐり協議してきたが、8日のロイター通信は両者の交渉が決裂したと報じていた。
アルミニー・モスタルは以前から、電解設備を停止した場合は再稼働ができなくなると警告していた。以前の報道によると、電解設備の適切な停止には2,500万ユーロ余りが必要な上、少なくとも2カ月の期間が必要だとされる。
同社は近年、原料の酸化アルミニウム(アルミナ)と電力価格の上昇を背景とする負債の増加に苦しんできた。ロイター通信によると、同社は7月初旬からグレンコアを中心とする企業連合から資金支援を受けていたが、グレンコアは電力料金の負担は拒否していた。
ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦政府のジンジッチ・エネルギー相によると、政府は今後、アルミニー・モスタルの経営再建に向けてアラブ首長国連邦(UAE)の大手同業エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)と交渉を再開する予定。他にももう1社が関心を示している。
同社の負債総額は3億8,000万ボスニアマルク(1億9,430万ユーロ)。うち国営電力会社EPHZHB
が2億8,000万マルクの債権を持つ。EPHZHBは今年6月、政府と昨年合意した優遇価格での電力供給を停止していた。
アルミニー・モスタルはボスニア唯一のアルミ精錬企業で、同国最大の輸出企業。900人を雇用する他、取引先企業も入れるとその影響は1万人に及ぶ。ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦政府が株式の44%、クロアチア政府が12%を保有している。(1BAM=62.29JPY)