欧州委員会のベステアー委員(競争政策担当)は8月27日、米グーグルの求人情報検索サービスについて、欧州連合(EU)競争法に基づく調査に着手したことを明らかにした。同社のサービスが反競争的だと主張する競合企業からの申し立てを受けた措置。現在は予備的調査の段階だが、最終的に欧州委が競争法違反と認定した場合、グーグルは4度目の制裁金支払いを命じられる可能性がある。
問題となっているのは、グーグルが2017年に開始した求人情報検索サービス。利用者が希望職種で求人情報を探せる仕組みで、グーグルは段階的に、給与や手当に関する情報を提供したり、勤務地で検索できる機能などを追加している。
同サービスをめぐっては、欧州で求人情報サイトを運営する23社が8月中旬、グーグルによる市場支配的地位の乱用で損害を受けたとして欧州委に苦情を申し立てた。求人情報を検索すると、検索結果ページの上部にグーグルのサービスが表示されるのは不公平だと主張し、欧州委に調査を要請すると共に、暫定的な是正命令を出すよう求めている。
ベステアー氏はベルリンで行われた会議で、プラットフォーム事業者が市場における支配的な地位を利用して、自社のサービスを不当に優遇しようとするケースが後を絶たず、「明らかな利害関係の衝突」がみられると指摘。「グーグルの求人情報検索サービスでもこうした問題が起きているか調査を進めている」と語った。
これに対し、グーグルの広報担当は「欧州でのサービス開始以来、各方面からの意見や苦情に対応して多くの変更を重ねてきた。職探しは困難な作業であり、当社は雇用主と協力して機会創出をサポートしている」とコメントした。