米格付け大手のムーディーズは8月30日、ブルガリアの格付け見通しを「安定的」から「強含み」に変更した。長期信用格付けは「Baa2」に据え置いた。堅固な財政に加え、経済成長の見通しの明るさが見直しにつながった。一方で今後の課題として、人口減少対策や、企業統治(コーポレートガバナンス)の推進、国有企業の再編、教育・保健改革――などを挙げた。
ムーディーズは、ブルガリア財政の改善と継続的な緊縮財政を評価。具体的に、◇財政黒字の達成◇継続的な国家債務の減少◇弁済能力の拡大◇財政準備金(財政のたくわえ)の大きさ◇年金改革のもたらした財政安定性――などを指摘した。来年も対国内総生産(GDP)比で0.8%の財政黒字を達成し、政府債務は対GDP比19%へ縮小すると予測する。
経済成長は2015年以来、年率3%を超えているが、今後も好調を継続する見通しだ。高速道路・鉄道の建設計画や、欧州連合(EU)基金の迅速な活用が景気を後押しする。
ムーディーズはまた、ブルガリアが来年にも欧州単一通貨ユーロ導入の前段階である欧州為替相場メカニズム(ERM
II)と、ユーロ圏の大手銀行の監督を欧州中銀(ECB)に一元化する欧州単一監督メカニズム(SSM)へ同時参加すると予測。これが、堅実なマクロ経済政策の継続や政府機関のさらなる強化につながるとみている。