米格付け大手のフィッチ・レーティングスは6日、ウクライナの長期信用格付けを従来の「Bマイナス」から「B」へ引き上げた。見通しは「強含み」。
政府ならびに国外からの資金調達力、マクロ経済の安定性向上、政府債務の減少が評価された。フィッチは、ゼレンスキー大統領が国民の大きな支持を得ていること、大統領の政党「国民のしもべ(SOP)」が国会の過半数議席を抑えていることから、政府の意欲的な改革政策が前進する条件がそろっているとみる。
改革への積極姿勢が国際通貨基金(IMF)による新たな支援の実施につながれば、欧州連合(EU)や他の国際機関からの借り入れも実現が現実的となる。国際金融市場でも資金が調達しやすくなり、2020~21年に集中する債務償還を乗り越えられる。
今後の経済見通しについてフィッチは、4-6月期(第2四半期)の国内総生産(GDP)が前年同期比4.6%増と大きく拡大したことを受け、通期で3.4%を予想する。内需拡大、農産品をはじめとする輸出の増加がけん引する見通しだ。
来年は、個人消費の伸びが鈍るほか、農産物収穫が例年並みに戻り、ロシア産天然ガス輸送量減少の影響も発生し、3.2%に鈍化する。