トルコ中央銀行は12日、主要政策金利である7日物レポ金利を3.25ポイント引き下げ、16.5%に設定した。利下げは7月に続き今年2回目。市場は2.75ポイントの引き下げを予想していた。物価の急騰が収まりつつあり、景気の拡大も見込まれることから、大幅な追加利下げに踏み切った。
同国の8月のインフレ率は15%で、2018年5月(12.1%)以来の低水準となった。インフレ率は昨年、通貨リラが対米ドルで約30%下落したのを受けて10月に25.2%まで上昇したものの、その後は低下傾向にある。中銀は今年の平均インフレ率を14.6%と予測している。
中銀は声明で、インフレが鈍化し、観光業を中心に輸出も拡大していることから経済成長が見込まれると指摘。「現行の金融政策は今後のインフレ率低下の予想図とおおむね合致している」としつつ、インフレ期待の抑制と景気浮揚を両立させるため「慎重な金融政策が必要」との見解を示した。
中銀は7月、2年10カ月ぶりの利下げを実施し、政策金利を24%から19.75%に引き下げた。インフレ率の低下を利下げの理由としていたものの、金融緩和に慎重だったチェティンカヤ前中銀総裁がエルドアン大統領に解任された直後の大幅な利下げであったことから、市場では同大統領からの圧力があったと受け止められた。
エルドアン大統領は「高金利がインフレを招く」を持論としており、中銀の金融引き締め策には一貫して否定的だった。チェティンカヤ前総裁に代わり就任したウイサル総裁がさっそく金融緩和にかじを切ったことに気を良くした大統領は今月8日、政策金利を近いうちに1ケタ台に引き下げ、それに伴いインフレ率も1ケタ台に鈍化するとの見通しを示していた。