コソボ議会選挙、野党2党が勝利

6日実施されたコソボ議会(一院制、定数120)の前倒し選挙は、野党の自己決定運動(VV)とコソボ民主同盟(LDK)が連立与党のコソボ民主党(PDK)、コソボ未来連盟(AAK)などを抑え、勝利を確実にした。ただ、単独で過半数を握る政党はなく、今後の焦点は連立交渉に移る。政策的な違いが大きいものの、現時点では自己決定運動と民主同盟の連立が有力視されている。投票率は2017年の前回選挙を上回ったが、依然として43.3%と低かった。

中央選挙管理委員会が7日、開票率97.7%の段階で発表した得票率は、自己決定運動が25.6%、民主同盟が24.9%。2008年の独立以来、政権に参加してきた民主党は21.1%に後退した。連立与党の未来連盟は11.5%。少数政党として連立に参加していた社会民主イニシアチブ(Nisma)は4.9%と阻止条項の定める5%を切り、議会入りが難しい情勢となった。

自己決定運動はアルビン・クルティ氏の率いる左派民族主義政党で、コソボとアルバニアの統一を政策として掲げる。一方の民主同盟は、1990年代に非暴力でセルビア支配からの独立に尽力したイブラヒム・ルゴバ氏が設立した中道右派政党だ。

連立与党3党はいずれも、セルビア・モンテネグロ(当時)からの独立を目指した武力勢力・コソボ解放軍(UCK)に端を発する。コソボでは2008年の独立以来、UCK系勢力が中心となり政権を運営してきたが、はびこる汚職や高失業率で国民の不満が累積し、これが他党への支持につながったもようだ。

このため、自己決定運動と民主同盟が連立を組む可能性が高い。しかし、両党の政策には違いも多く、どう折り合いをつけるかに注目が集まる。

コソボでは議会定数120のうち20議席がセルビア、トルコ、ロマなどの少数民族に配分されることになっており、残る100議席が得票率に応じて各党に割り当てられる。

今回の選挙は、未来連盟のハラディナイ首相が、コソボ紛争時の戦争犯罪容疑でデン・ハーグ特別法廷に召喚されたのを受けて、今年7月に辞任、議会が解散されたために行われた。

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