米格付け大手のムーディーズは4日、チェコの長期信用格付けを従来の「A1」から「Aa3」へ1段階引き上げた。見通しは「安定的」とした。ムーディーズによるチェコの格上げは2002年以来、初めて。ムーディーズの定義で4番目に高い「Aa3」の評価を得たことで、チェコの格付けはエストニアを抜いて東欧でトップとなり、ベルギーや台湾と肩を並べた。他の大手格付け会社、スタンダード&プアーズとフィッチ・レーティングスもチェコを上から4番目に高い「AAマイナス」に位置付けている。
格上げの理由としてムーディーズは、財政の健全性と国家債務の縮小を挙げた。労働市場や教育制度といった構造改革の進展も評価した。今後、年金・医療制度の財政バランスを長期的に維持するための改革が成功すれば、さらに信用力が増すと指摘した。
チェコの政府債務は国内総生産(GDP)比32%と、欧州連合(EU)加盟国中で4番目に小さい。経済成長は鈍化するが、それでもムーディーズは同比率が来年末までに30.8%に低下し、2023年までに30%を切ると予測している。