世界銀行は8日発表した西バルカン諸国の秋季経済予測で、2019年の同地域の予想成長率を従来の3.5%から3.2%に下方修正した。投資・輸出が縮小し続けていることが理由。ただ、来年と再来年には成長幅が拡大する見通しだ。
西バルカン6カ国の成長率は昨年、前年比で1.3ポイント増の3.9%へ上昇した。世銀では2020年と21年はこの水準には届かないものの、今年より成長幅が大きくなる。
今年の成長予測を国別でみると、コソボが4%と好調を維持、北マケドニアも3.1%と昨年実績を0.4ポイント超えるが、他の国では勢いが衰える。
景気減速にもかかわらず、西バルカンの失業率は低下を続けており、今年6月には史上最低の15.6%を記録した。国別ではセルビアが10.3%と最も低く、アルバニアが11.5%でこれに続いた。好景気が雇用機会を広げ、女性の就業を促進し、国外移住者を減らしている。
しかし、就業率は労働年齢人口の44%に留まり、雇用情勢の地域差が懸念となっている。コソボとボスニアでは今年、就業率がそれぞれ34%と30%に低下した。
今後は、最大取引先である欧州連合(EU)の景気減速や、米中などの貿易摩擦、原油相場の不安定などから不透明性が高まる。このため、財政支出の縮小と競争力強化を迅速に進めることが肝要だ。世銀は具体的に、◇公的部門における賃金支出の抑制◇租税支出(「税」の減免による間接的な政府「支出」)の削減◇社会保障給付対象の厳格化――を挙げ、これが公共投資の拡大や、リスク対応に向けた財政的蓄えにつながると指摘している。