EUと中国が地理的表示保護の交渉妥結、双方で100品目が保護対象に

欧州委員会は6日、中国政府との間で地理的表示(GI)保護制度を相互に認める協定の締結交渉が妥結したと発表した。ギリシャのフェタチーズやフランスのボルドーワイン、中国のピーシェン豆板醤や安吉白茶(アンジーバイチャ)など、双方が生産する農産品や酒類などそれぞれ100品目が保護対象となる。

欧州連合(EU)にとって中国は米国に次ぐ農産品・食品の輸出先で、2019年8月までの年間輸出額は約128億ユーロに達した。欧州委によると、GIの保護対象となるワインや蒸留酒、農産品などが占める割合は約9%に上る。

GI制度は特定の地域に固有の製造方法で造られた製品の名称を保護することが目的。EUと中国は2006年にGIの相互保護に関する協議を開始し、12年にそれぞれ10品目を保護対象とすることで合意。その後、GI保護制度の相互認定に向けた本格交渉を進め、17年6月に双方が保護を求める対象品目リストを公表していた。

EUと中国は直ちに、今回妥結した協定を法的観点から点検する作業に入る。EU側では閣僚理事会と欧州議会の承認が必要だが、欧州委は2020年末までに協定が発効するとの見通しを示している。なお、双方は協定発効から4年後をめどに、それぞれ175品目を保護対象に追加することで合意した。

欧州委のホーガン委員(農業・農村開発担当)は「GIの保護対象となることで、消費者は原産地や品質を信頼し、納得して対価を支払うことになり、生産者側の収益改善も期待できる」と述べた。一方、上海にある在中国EU商工会議所のアンドレアス会頭は、農産品などがGIの保護対象となり付加価値が高まれば、模倣や盗用などの可能性も高まると警告。中国ではGIが知的財産権として規定されていないため、協定に実効性を持たせるには法改正や監督当局による執行権の強化が不可欠と指摘した。

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