チェコ労働社会省が先ごろ発表した男女間の賃金格差に関する調査によると、同じ職位にある女性が男性と同等の賃金を得られていないと考える人の割合は約半数に上ることが明らかになった。また、全体の3分の1は女性が男性に比べ能力が劣るとみていることも分かった。同省は国内の賃金格差が他の欧州連合(EU)諸国に比べ大きいことを踏まえ、男女間の賃金格差解消に向けた雇用者向けのプログラムを策定し、雇用者に働きかけを行っていく方針だ。
EU統計局(ユーロスタット)によると、2016年のチェコにおける男女間の賃金格差は欧州28カ国中、27番目に大きい21.8%。最上位のルーマニア(5.2%)やイタリア(5.3%)を大きく下回るのみならず、EU平均の16.2%にも及ばない。こうした状況を受け労働社会省は「22%から平等へ」と題する格差是正プロジェクトを立ち上げ、今回の大規模調査を行った。
2,000人に対し行われた今回の調査によると、同じ職位で男女に賃金格差があると考える人の割合は49%で、男女別にみると女性の5分の3、男性の5分の2がそのような考えを示した。理由として、家事や子供の世話が家族間で平等に配分されていないことを挙げた人が83%と最も多かった。そのほかパートタイムの仕事に就くのが難しいことや、母親としての役割とキャリアの両立が困難なことなどが挙げられた。全体の3分の2は高い地位にある女性の数が少ないと考えており、偏見や現行の教育システムを理由に挙げた人が60%いた。また3分の1の人が男性に比べ女性は能力や効率性、スキルの点で劣ると考えていることも分かった。
国営ラジオプラハによると、チェコでは大卒者の数は男性よりも女性が多く、卒業生の5分の3を占める。それにも関わらず女性の賃金は男性よりも20%~30%低い上、昇進も難しいという現実がある。
回答者の88%が求人情報の中で給与のおおよその金額を示すべきだとし、75%は労働組合と労働基準監督官がジェンダーギャップを是正するために協力すべきだと考えている。