ユーロ参加国の20年度予算案、欧州委が容認

欧州委員会は20日、ユーロ圏19カ国の2020年度予算案の審査結果を公表した。仏、伊など8カ国が欧州連合(EU)の財政規律に違反する可能性があるとしながらも容認し、過剰赤字是正手続きの適用は見送った。

20年度予算案が問題視されたのは仏、伊、スペイン、ポルトガル、ベルギー、フィンランド、スロバキア、スロベニアの8カ国。特に仏、伊については、債務が上限を大きく超えていることから、10月に警告していた。

しかし、欧州委のドムブロフスキス副委員長(ユーロ担当)は、規律順守に向けて「必要な措置」を講じる必要があるとしながらも、即時の実施が求められる状況にはないとして、過剰赤字是正手続きを発動しない意向を表明した。

今回の判断には、ユーロ圏経済の減速が懸念される中、財政出動による景気下支えを求める声が浮上していることが背景にあるもよう。モスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は同日の記者会見で、独、オランダなど財政が健全な国による財政出動の必要性を強調した。

EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として、13年から各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を導入。単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内、累積債務をGDP比60%以内に抑えることを義務付けるEUの財政規律を順守できるかどうかをチェックしている。規律違反の国は過剰赤字是正手続きを発動されるが、今年7月以降に同手続きを適用されている国はない。どの国も同手続きの対象外となるのは、2002年に欧州単一通貨ユーロが導入されてから初となる。

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