ロシアITサービス大手MRGと国営ズベルバンク、協力関係推進で合意

ロシアのITサービス大手Mail.Ruグループ(MRG)と国営銀行ズベルバンクは19日、戦略的な協力関係の推進や合弁事業などについて合意したことを明らかにした。両社の発表によると、ズベルバンクがMRGの親会社に出資するほか、カーシェアリングなどモビリティ関連サービスや食品配達サービスを提供する合弁会社を設立する。両社はそれぞれが持つデジタル技術や顧客サービスを融合することでシナジー効果の発揮を期待している。

ズベルバンクは国営のガスプロムバンクおよびハイテク企業ロステックから、MRG親会社で株式の58.3%を保有するMFテクノロジーの株式36%を取得する。取得額は計113億ルーブル(1億6,000万ユーロ)になる見通し。この結果、MFテクノロジーの株主構成は携帯通信大手メガフォンが45%、ズベルバンクが36%、ロステック10%、USMホールディングズ9%となる。取引は今年末までに終了する見通し。

ズベルバンクとMRGはまた合弁会社を立ち上げ、フードデリバリーやカーシェアリングを提供するためのオンラインプラットフォームを開設する。新会社は両社の折半出資で、最大10%までを従業員のインセンティブプランとして確保する。新しいプラットフォームでは、MRGの出前アプリ事業「デリバリークラブ」やタクシー事業「シティモビール」のほか、カーシェアリングの「ユードライブ(YouDrive)」、ズベルバンクが今年11月に開始した食品宅配サービス「ズベルマルケト」などを利用できるようになる予定。

ズベルバンクとMRGは今年7月に合弁会社の設立で基本合意に達していた。両社の出資額は当初計470億ルーブル(6億6,530万ユーロ)となる見通し。MRGは100%子会社のデリバリークラブや、シティモビールの持ち株29.7%を新会社に移すことなどを通して85億ルーブルを出資する。一方ズベルバンクはレストラン予約アプリ事業ズベルフード(フードプレックス)の株式35%を新会社に移し、385億ルーブルを出資する。その他、合弁会社の設立後に傘下企業の業績に応じ176億ルーブルが追加される可能性がある。

一部の報道によると、ズベルバンクとMRGは新会社の将来的な上場も検討している。ズベルバンクの幹部は、株式公開は3年から5年後になる見通しを明らかにした。(1RUB=1.70JPY)

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