2020/2/5

総合・マクロ

中東欧の昨年のM&A減少、中国との取引は倍増

この記事の要約

中国からの昨年のM&A投資は約64億ユーロで前年から倍増し、14%増の米国の58億ユーロ(取引件数122件)を上回った。

取引件数で米国に次ぐドイツは17%増の83件で、取引額は6%減の13億5,000万ユーロだった。

オーストリアの取引額は13億6,000万ユーロで12%増加した。

中東欧における2019年の企業の吸収・合併(M&A)件数は1,958件となり、前年から6.5%減少した。チェコの弁護士事務所CMSがこのほど発表したレポートによると、特に域内企業間の取引が不活発だった。一方、中国などの外国投資家の取引は増加しており、今年のM&A市場は再び上昇に転ずる見込みだ。

中東欧の域内での取引は前年の4分の3にとどまった。これに対して、域外の投資家との取引件数は14.6%増加。M&Aの総額723億ユーロうち510億ユーロが域外とのものだった。

取引件数を国別にみると、中東欧地域で大きな位置を占めるロシアは前年並みの602件だった。トルコは205件で6.2%増えた。大きく伸ばしたのはウクライナとルーマニアで、それぞれ132件(25.7%増)と143件(10%増)だった。チェコやポーランドでは件数が減少したものの取引額は増加した。

域外の投資家は同地域の企業に引き続き強い関心を示しており、特にアジアからの投資が拡大している。中国からの昨年のM&A投資は約64億ユーロで前年から倍増し、14%増の米国の58億ユーロ(取引件数122件)を上回った。日本からの投資額も29億ユーロで倍増した。韓国とシンガポールは金額では日中に及ばないものの、2018年からそれぞれ12倍、7倍と大きく増やした。

欧州勢では英国とフランスの取引件数が増えだが、金額はそれぞれ77%、31%減少した。取引件数で米国に次ぐドイツは17%増の83件で、取引額は6%減の13億5,000万ユーロだった。オーストリアの取引額は13億6,000万ユーロで12%増加した。

部門別に見ると不動産・建設が378件、取引額は166億ユーロで最多だった。次いで通信・ITが300件で取引額は120億ユーロだった。