カザフスタンのマミン首相は5日、英国の通信会社ワンウェブがカザフスタン全域をカバーする通信衛星の打ち上げを計画していることを明らかにした。政府はワンウェブと協力し、遠隔地を含めてブロードバンドによる高速インターネットの普及を図っていくほか、国内での衛星の組み立てや合弁会社の設立も進める予定だ。
ワンウェブのステッケル最高経営責任者(CEO)によると、カザフスタン南部のバイコヌール基地から年内に8基、合計で34基の人工衛星を打ち上げる計画で、2021年末には衛星ネットワークの運用を開始する予定。
カザフスタン政府と同社は首都ヌルスルタンにある国立宇宙センターで衛星を組み立てることも検討している。また合弁会社を設立し、他の中央アジア諸国やコーカサス諸国、イラン、アフガニスタンにワンウェブの衛星通信を利用したインターネット事業を展開していく。
ワンウェブは1月末にカザフスタンのアスタナ国際金融センター(AIFC)との間で、同国のブロードバンド接続を拡大することで基本合意書(MOU)を締結していた。両者は協力して低遅延のブロードバンド環境を提供すると共に、中央アジアでのワンウェブの通信事業をサポートする技術拠点を国内に設置する。
カザフスタン政府は現在、デジタル技術を通して経済成長や生活向上を図るプロジェクト「デジタルカザフスタン」を進めている。同プロジェクトの目標には通信ネットワークの拡大が含まれており、2022年までに6,600の農村地域や遠隔地を含む全土で衛星通信によるブロードバンドを普及させる計画だ。ワンウェブは光通信なみに高速かつ低遅延のブロードバンドサービスを提供するため、現地の通信事業者と提携していく予定。