スロバキア議会選、反汚職の野党「オラノ」が勝利

スロバキアで2月29日行われた国民議会選挙(定数:150)は、汚職一掃を掲げる政党連合「普通の人々(オラノ)」が25%を得票し、与党・社会民主党(スメルSD)に7.9ポイント差をつけて勝利した。2年前のクチアク記者殺害事件を機に、政治家・官僚とマフィアの密接な関係が明るみになり、汚職に対する国民の批判が高まったことが背景にある。一方で、他の政治的課題に対するオラノの姿勢は選挙戦で明らかにされず、今後の政治運営の方向性は不透明だ。

中央選挙管理委員会が開票終了後発表した選挙結果はオラノが25%を得票し、2016年の前回選挙から14ポイントも票を伸ばした。2位はスメルSDで10ポイント減の18.3%に後退した。3位は反移民のポピュリスト政党「われらは家族(SME

rodina)」(8.2%)、4位は極右の「われらのスロバキア(L’SNS)」(8%)だった。欧州連合(EU)懐疑派のリベラル政党「自由と連帯(SaS)」(6.2%)、キスカ前大統領の新党「人々のために(Za

ludi)」(5.8%)も5%以上を獲得して議会入りを果たした。進歩党(PS)および「一緒に(spolu)」の選挙連合は6.96%と、選挙連合の議席獲得要件である7%にわずかに届かなかった。また、スメルSDと連立を組んでいた「橋(Most-Hid)」と国民党(SNS)はそれぞれ3.9%、3.2%にとどまり、議席を失った。投票率は65.8%だった。

議席配分はオラノが53(34増)、スメルSDが38(11減)、「われらは家族」が17(6増)、「われらのスロバキア」が17(3増)、「自由と連帯」が13(7減)、「人々のために」が12となる見通し。オラノは選挙戦でスメルSD・「われらのスロバキア」

との協力を否定しており、安定多数を得るには残る3党のうち少なくとも2党との連立が必要となる。

オラノは実業家のイゴル・マトヴィッチ氏(46)が2015年設立したゆるやかな政党連合で、政治綱領を持たない。超保守派の議員も多く、今後の方向性は不透明だ。

欧州政策についても、その立ち位置は明らかでない。連立の候補となる政党からも、難民受け入れや「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンス防止条約(イスタンブール条約)」批准をめぐって、EUに懐疑的な動きが出ている。

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