ECBが追加量的金融緩和を緊急決定、新たに7500億ユーロの資産購入

欧州中央銀行(ECB)は18日、電話による緊急政策理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大によるユーロ圏経済の悪化、金融市場の動揺を抑えるため、量的金融緩和の拡大を決めた。国債などの資産を2020年末までに追加で7,500億ユーロ(約89兆円)購入する。

ECBは新型コロナウイルス感染拡大への対応として、12日の定例政策理事会で追加の金融緩和を決め、毎月200億ユーロ規模の資産を買い取るという従来の計画に加えて、年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを打ち出したばかりだ。

それでも、新型コロナウイルス感染の欧州の中心地となっているイタリアの国債の急落が続くなど市場の動揺が収まらないため、異例の緊急理事会を開き、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と命名した新たな資産購入プログラムの実施に踏み切った。

PEPPでは国債、社債のほか、金融分野以外の業種が発行するコマーシャルペーパー(CP)も購入対象とし、企業の資金繰りを支える。格付けが投資不適格級のため対象外だったギリシャ国債も購入する。

さらに、ユーロ圏各国の国債の3分の1以上は購入せず、各国のECBへの出資割合に応じて購入するという自主規制を解除し、柔軟に買い取りを進めることを決めた。新型コロナウイルス問題が経済、市場に深刻な影響を及ぼすことを強く懸念していることがうかがえる異例の対応だ。ラガルド総裁は理事会後のツイッターへの投稿で、「異常な事態には異例の措置が必要だ」とコメントした。

PEPPの資産購入額はユーロ圏の域内総生産(GDP)の6%に相当する規模。資産購入は新型コロナウイルス危機が終息したと判断するまで続けるが、少なくとも年末まで実施する。ECBによる年内の資産購入額は1兆1,100億ユーロ(約131兆円)に達する。理事会は声明で、「理事会の権限の範囲内で、必要なことはすべてやる」とした上で、「資産購入規模を増やす用意が十分にある」と述べ、必要に応じて量的緩和をさらに拡大する決意を示した。

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