ロシアに工場を持つ自動車メーカーが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて相次いで生産停止に動いている。スウェーデンの大型トラックメーカー、ボルボ・トラックは3月25日、ロシア南西部のカルーガに持つ工場の操業を一時停止する計画を発表。独フォルクスワーゲン(VW)や仏PSAも3月末から同国工場の生産を停止する予定だ。
ボルボ・トラックは4月13日から30日までの約2週間、工場の操業を停止する。ロシア国営タス通信によると、同社は今回の措置についてコロナウイルスの国内での広がりを警戒するロシア政府の要請を受けたものだとしている。
VWも国内2工場について、3月30日から4月10日まで生産を中断する予定だ。同社は理由として、欧州工場からの部品供給が不足していることを挙げた。一方、現時点でディーラーや顧客向けの車両およびスペアパーツの供給に問題はないとしている。同社はカルーガとニージニーノブゴロドにある工場でVWやシュコダブランドの乗用車を生産している。
PSAはサプライチェーンの混乱を理由に4月1日から3日にかけて生産を停止する。同6日から10日にかけては全従業員が有給休暇に入る予定だ。一方、仏ルノー、中国長城汽車傘下のハバル、独メルセデス、日産自動車、韓国現代自動車は26日時点で操業停止について明らかにしていない。
地元メーカーについても一部が生産を停止する可能性がある。ロシアの自動車大手ソレルスは個人消費の落ち込みを理由に操業を停止するリスクがあることを明らかにしているほか、傘下のUAZおよび合弁会社のフォード・ソレルスも5月以降に生産を中断する可能性を示唆している。一方、カマズとGAZは現在のところ生産中止の予定はないという。