自動車メーカー各社の操業停止措置続く、一部は生産再開の動きも

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、大手自動車メーカーは軒並み操業停止措置を延長している。一方、起亜自動車はいち早く生産を再開した。ロシアを除く中東欧地域における各メーカーの動向は以下の通り。

■ダイムラー、アウディ、スズキ

独ダイムラーはハンガリー中部ケチケメートにあるメルセデスブランドの工場の操業停止措置を4月21日まで延長する。当初は3月20日から4月2日までの予定だった。同工場は従業員数4,700人で、昨年の生産台数は19万台。

独アウディのハンガリー子会社アウディ・フンガリアはジュール工場の操業停止措置を4月19日まで延長する。当初の予定は3月23日から4月5日まで。エンジンの生産のみ13日から段階的に再開する。同工場の従業員数は約1万2,800人。生産モデルは「Q3」、「Q3スポーツバック」、「TTクーペ」、「TTロードスター」、「A3カブリオレ」、「A3セダン」の6つ。エンジンはガソリンとディーゼル両方に加え、2018年からは電気モーターも生産している。

スズキのハンガリー子会社マジャールスズキは首都ブダペスト近郊のエステルゴムにある工場の操業停止措置を2週間延長する。当初は3月23日から4月3日までの予定だった。同工場の従業員数は3,200人。同社広報によると、従業員に対しては勤務時間の変更やテレワークの導入、有給休暇の取得などを通じて給与を確実に支払っている。2週間の延長期間中には生産再開に向けて安全な労働環境の整備に取り組む意向だ。

■現代・起亜自動車

韓国の現代自動車はチェコ東部のノショヴィツェ工場の操業停止措置を4月9日まで延長する。同工場では電動コンパクトSUV「コナ・エレクトリック」、小型車「i30」、SUV「ツーソン」を生産している。

起亜自動車はスロバキア北東部のジリナ工場を今月6日から部分的に再稼働した。新型コロナウイルスの感染拡大を理由に工場を閉鎖した自動車メーカーで生産を再開するのは同社が初めて。

■JLR、シュコダ、トヨタ

英ジャガーランドローバー(JLR)は3月20日を最後にスロバキア東部のニトラ工場を閉鎖している。再開時期については「状況を慎重に見極めながら」判断する方針。同工場ではランドローバー「ディスカバリー」と「ディフェンダー」を生産している。

独フォルクスワーゲン(VW)のチェコ子会社シュコダ自動車は、国内のムラダー・ボレスラフ、クヴァシニ、ヴルフラビーの3工場について3月18日から4月5日にかけて段階的に操業を停止した。従業員3万7,000人が影響を受ける。

トヨタのチェコ子会社トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)は中部のコリーン工場をイースター明けの4月17日まで停止する予定。同社はこのほかポーランドのヴァウブジフとイェルツ・ラスコビツェ、トルコのサカリヤにある工場でも操業を停止している。

■ダチア、フォード

仏ルノーのルーマニア子会社ダチアは2日、中南部にあるミオヴェニ工場の操業停止措置を無期限で延長すると発表した。当初は3月19日から4月5日までの予定だった。同工場では小型車「サンデロ」や「ロガン」、SUV「ダスター」など8モデルを生産している。影響を受ける1万3,500人については給与の85%を保証する。

米フォードのルーマニア法人はルーマニア南部のクラヨバ工場の操業停止措置を5月4日まで延長する。当初予定は3月19日から4月5日まで。同工場ではコンパクトSUV「ピューマ」および「エコスポーツ」、低燃費エンジン「エコブースト」を生産している。約6,300人の従業員は給与の78%が保証される。同社は2月、今年のクラヨバ工場の生産数は日産1,000台(67秒当たり1台)となって過去最高を記録する見通しだと発表していた。同工場への2008年以来の投資残高は15億ユーロに上る。

このほか、VWと仏プジョー・シトロエン・オートモビル(PSA)がスロバキア工場の、フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)がポーランドおよびセルビア工場の操業を停止している。

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