2020/4/8

チェコ・スロバキア

チェコ国営電力CEZ、リチウム鉱床の開発で豪EMHの子会社買収

この記事の要約

チェコ国営電力会社CEZは3月27日、豪州のヨーロピアン・メタルズ・ホールディング(EMH)との間で同社のチェコ子会社ジオメット(GEOMET)の株式51%を取得することで合意したと発表した。

CEZとEMHは昨年11月、戦略提携の推進とチノヴェツのリチウム鉱床開発事業の譲渡に関し合意していた。

計画によればチノヴェツでは酸化リチウム0.45%とスズ0.04%を含有する推定埋蔵量372.4メガトンのリチウム鉱脈を開発する。

チェコ国営電力会社CEZは3月27日、豪州の鉱業会社ヨーロピアン・メタルズ・ホールディング(EMH)のチェコ子会社ジオメット(GEOMET)の株式51%を取得することで合意したと発表した。これによりCEZはチェコ北西部のチノヴェツにおけるリチウム鉱山の経営権を取得。電気自動車(EV)用リチウム電池工場の設置計画に向けて前進する。EMHは今月開催される臨時株主総会で株主の承認を得る予定。

CEZとEMHは昨年11月、戦略提携の推進とチノヴェツのリチウム鉱床開発事業の譲渡に関し合意していた。新たな合意では、CEZと子会社の鉱山企業セベロチェスケー・ドリによる株式取得額が当初の3,400万ユーロから2,910万ユーロに減額されたほか、基本設計(FEED)の時点あるいは最終的な実現可能性調査(FS)の提出段階でCEZとEMH両社が資金面の関与から撤退することなどが盛り込まれた。

CEZは今後、実証施設で技術的な観点を含め採掘技術の検証を行うとともに、許認可プロセスをさらに進める予定。最終的な実現可能性調査を含め一連のプロジェクトの終了は2023年ごろとなる見通し。

チェコのリチウム埋蔵量は世界全体の3%を占め、欧州最大の鉱床となっている。多くがドイツとの国境にまたがるチノヴェツ近郊のエルツ山地にあるほか、北西部のスラフコフスキー・レスでも産出する。ハブリチェク産業貿易相は昨年7月にリチウム採掘による収益は可能な限り国外に流出させるべきではないとの考えを示していた。

計画によればチノヴェツでは酸化リチウム0.45%とスズ0.04%を含有する推定埋蔵量372.4メガトンのリチウム鉱脈を開発する。これは炭酸リチウム722万トンとスズ26万3,000トンに相当する。2017年の推計によると、採掘開始から20年間の炭酸リチウムの生産量は年間2万2,500トンに上る。採掘方法については坑道掘りが予定されている。