ロシアのプーチン大統領は2日の国営放送で、3月28日から導入している有給の休業措置の期限を今月5日から月末30日まで延長すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、国民の外出機会を減らしてウイルスの蔓延を食い止める方針だ。状況が改善した場合は期間の短縮もあり得るとしている。
プーチン大統領は、コロナウイルスは流行のピークに達しておらず、特にモスクワでは状況が非常に切迫していると指摘。このため4月全体を「非労働日」扱いにするとともに、国民に自宅待機を徹底するよう呼びかけた。期間中は食料品店、薬局、病院などを除く大半の企業・機関が休業する。自宅勤務が可能な場合は例外となる。休業中の給与・賃金は保障される。
同大統領はまた、州など構成自治体の首長に対し、外出禁止などの予防措置を4月5日までに決定するよう指示した。国内でコロナウイルスの広がりに地域差があることから、予防措置は自治体ごとに講じるべきとの考えだ。必要な権限は大統領令に基づいて付与される。
一方、発令が取りざたされている緊急事態宣言については言及しなかった。
4月2日時点のロシアの感染者数は3,548人。地域別ではモスクワ市が2,475人と最も多く、モスクワ州(177人)、サンクトペテルブルク(147人)と続く。全国で30人が死亡した。
■モスクワは外出禁止を延長
モスクワのソビャーニン市長とモスクワ州政府は同日、3月30日から実施している外出制限措置を5月1日まで延長すると発表した。食料品店と薬局への買い物、通院、自宅から100メートル以内での犬の散歩を除き外出が禁止されている。