ハンガリーのパルコヴィチ革新相が7日にコロナ危機に伴う経済対策を発表したのに先立ち、オルバン首相は新型コロナウイルスの流行に対応するための新しい行動計画を発表した。雇用対策と主要産業に対する支援、企業への助成、家族や年金生活者の保護などを柱とするもので、企業向けに2兆フォリント(56億8,670万ユーロ)を支出するなど大規模な経済対策が含まれている。
コロナウイルスの影響による景気の悪化に対し、政府はすでに社会保険料の支払い減額を実施してきた。今回発表された措置では、時短操業の影響を受けている労働者の給与の一部を国が補償するほか、新規雇用を創出する投資に対し4,500億フォリントを支出する。年金生活者に対しては来年から4年間にわたり年間で13カ月分の年金を支給する予定だ。また企業向けに利子補給や信用保証を行うため2兆フォリントを計上しており、特に食品、観光、農業、建設、物流、交通、クリエイティブ産業を重点的に支援する。
一方でコロナウイルスに関連した現政権の動きに対しては国内外から批判の声が出ている。オルバン首相は3月初旬に緊急事態宣言を出したのに続き、議会では選挙の実施停止やフェイクニュースに対する罰則の導入など政権の権力強化につながる一連の措置が採択された。これらを受けて同国の社会党や民主連合など野党が首相の独裁につながるとする共同声明を出したほか、欧州委員会のフォンデアライエン委員長などが懸念の声を上げている。コロナウイルスの流行に伴う危機的状況を自らの権力強化に利用しているとの見方だ。(1HUF=0.33JPY)