トルコの電子商取引(EC)市場は2019年、前年比39%増の831億リラ(146億米ドル)に拡大した。過去5年の平均年間成長率は35%に及んでいる。
トルコ情報技術産業協会(TUBISAD)、デロイト・トルコ、シミラーウェブ、インヴィオンが共同でまとめたリポートによると、部門別市場シェア1位は小売で全体の43%を占めた。売上高は449億リラ(78億ドル)だった。うち、実店舗を持たない小売事業者は48%増の308億リラ(54億ドル)を売り上げ、最も高い伸び率を記録した。
TUBISADのキュブラエルマン・カラジャ代表は「配達時間の短縮で大きく伸びた事業分野がある。また、これまでオンラインで買い物をしなかった人々が新たなユーザーになった」とし、EC業界の成長が続いていると強調。今年もスマートフォンの普及とモバイルコマースの拡大を追い風に、取引額が増大すると予測している。
デロイト・トルコのパートナーであるハカン・ゲル氏は、同国の小売売上高に占めるECの割合が6.2%にとどまっており、まだまだ伸びしろがあるとみる。また、新型コロナウイルスの関連では、「新型肺炎(Covid-19)の流行で、ECが単なる選択肢ではなく必要不可欠なものであることがはっきりした」と指摘。デジタル技術で事業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)やECに重点を置く企業がトルコだけでなく国際市場で注目を浴びる存在になっていくと予想する。(1TRY=15.20JPY)