2020/5/20

総合・マクロ

コロナ後の中東欧成長率、西欧を上回る見通し=EBRD

この記事の要約

これらの国々では今年経済が縮小するものの、来年には回復すると予想されている。

いずれの国においても21年には景気は回復し、成長率はプラス4%を上回るとしている。

なおEBRDはポーランドについて3.5%の縮小を予測しているが、同国のエミレビィツ副首相は地元メディアの取材に対し、経済は縮小せずゼロ成長にとどまるとの見通しを明らかにしている。

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて欧州復興開発銀行(EBRD)がこのほど発表した中東欧地域(トルコ含む)の経済見通しによると、EUに加盟する中東欧4カ国、バルト3国、クロアチアの2020年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス4.3%となる見込みだ。一方、来年は反動で4.5%まで回復し、西欧諸国を上回る。トルコについては今年マイナス3.5%となり、他国に比べコロナ危機の影響は比較的軽微なものにとどまるとしている。

2019年以来成長が減速傾向にあったポーランド、ハンガリー、スロバキア、スロベニアの中東欧4カ国とバルト3国、クロアチアは、年初からのコロナウイルスの感染拡大で、中国からの部品供給に頼る電子産業などが大きな影響を受けた。これらの国々では今年経済が縮小するものの、来年には回復すると予想されている。今年の成長率のマイナス幅については、リトアニア、ラトビア、クロアチア(7%)、スロバキアとエストニア(6%)で特に大きくなる一方、ポーランドとハンガリーは3.5%にとどまる見通しだ。ルーマニアとブルガリアはそれぞれ4%と5%との予想。いずれの国においても21年には景気は回復し、成長率はプラス4%を上回るとしている。

バルカン諸国の経済も低迷する見通しで、中でもアルバニアはマイナス9%と大きく落ち込むことが予想されている。また、2019年に成長率が1.3%にとどまったロシアは今年マイナス4.5%に低迷するものの、21年は4%のプラス成長に転じる。

オランダのING銀行のベネチキ氏によれば、中東欧諸国はすでに大規模な景気刺激策や救済策を導入している。各国政府が実施する投資の規模はハンガリーが13.6%で最も大きく、次いでチェコが12.4%、ポーランドが11.3%に相当する。一方ロシアでは3%にとどまっている。

EBRDは、コロナ対策として各国で取られている制限措置が続く場合は2024年まで経済の回復は難しいとしている。

なおEBRDはポーランドについて3.5%の縮小を予測しているが、同国のエミレビィツ副首相は地元メディアの取材に対し、経済は縮小せずゼロ成長にとどまるとの見通しを明らかにしている。同副首相はウクライナからの出稼ぎ労働者100万人が帰国したことで、その穴埋めとして国内で十分雇用を補うことができるとの見方だ。