ルーマニア国営の原子力発電事業者ヌクレアルエレクトリカが、チェルナヴォダ原発における原子炉新設計画に関する中国広核集団(CGN)との提携を破棄する方針だ。6月12日の臨時株主総会で株主の承認を得た上で、解約手続きを進める。
ルーマニアの社会民主党(PSD)政権は2015年、CGNと3号機、4号機の設計・建設・運営における協力で基本合意し、昨年5月に仮契約を結んだ。しかし、右派・国民自由党(PNL)出身のヨハニス大統領が同8月、トランプ米大統領と原子力エネルギー分野における提携強化で合意。9月にダンチラ首相(当時)がこれを確認する形でペリー米エネルギー長官と覚書を交わしたため、CGNとの提携実現に疑問符が浮上した。
その後、11月の政権交代で就任したPNLのルドミル・オルバン首相は今年1月、CGNとの提携を撤回する方針を明らかにした。理由として欧州委員会が打ち出した包括的環境政策「欧州グリーンディール」を挙げており、CGNとの提携では同政策が目指す環境・経済双方の持続可能性の達成基準が満たせないと判断したとみられる。