コソボのホティ新首相は6日、セルビアからの輸入を阻む規定を全廃したと発表した。米国と欧州連合(EU)の要請に応え、セルビアとの対話を再開する姿勢を示した形だ。コソボの決定を受けてセルビア側が今後どう動くかが注目される。
コソボはセルビアの統治下にあったが、独立を目指すコソボ解放軍とセルビア軍との軍事衝突、北大西洋条約機構(NATO)軍による介入などを経て1999年にセルビアから分離した。2008年に一方的に独立を宣言したが、セルビアはこれを承認しておらず、両国間関係は緊迫が続いている。
2011年からEUの仲介で関係正常化に向けた対話が行われていたが、コソボが18年11月、「セルビアの介入で国連教育科学文化機関(UNESCO)や国際刑事警察機構(ICPO)など国際機関への加盟が成らなかった」としてセルビアからの輸入に高関税を課し始めた。クルティ前首相(「自己決定運動」)は、米国とEUの圧力の下、今年4月1日付で特別関税を廃したが、代わりにセルビアナンバー車の乗り入れ禁止やセルビア人の入国要件の厳格化といった間接的な貿易障壁を導入していた。
今月3日に就任したばかりのホティ首相は「自己決定運動」と連立提携していた穏健独立派のコソボ民主同盟に属し、クルティ前政権で副首相を務めていた。しかし民主同盟は、クルティ前首相がセルビアへの強硬姿勢を崩さないのに業を煮やした米国に迫られて連立を離脱。前首相に対する今年3月の不信任決議案採択につながった。
セルビア政府によると、高関税導入前の対コソボ輸出高は年間4億ユーロ以上にのぼっていた。