2020/6/17

総合・マクロ

中欧4カ国首相、EU経済再建基金案で温度差

この記事の要約

チェコ南東部のレドゥニツェで11日に開かれたチェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリーの中欧4カ国(V4)首脳会議は、欧州連合(EU)がコロナ危機後の経済再建を視野に創設を予定するEU基金をめぐる各国の温度差が鮮明となっ […]

チェコ南東部のレドゥニツェで11日に開かれたチェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリーの中欧4カ国(V4)首脳会議は、欧州連合(EU)がコロナ危機後の経済再建を視野に創設を予定するEU基金をめぐる各国の温度差が鮮明となった。ポーランドとスロバキアが基本的に賛成する一方、チェコとハンガリーは慎重な姿勢を崩していない。EUは同基金について、19日にオンライン首脳会議を開催するが、早期の合意は難しそうだ。

チェコのバビシュ首相によると、欧州委員会が再建計画の実施期間を4年としていることについて、4カ国とも「短すぎる」という意見で一致した。同首相自身はEU中期予算と同じ7年が適当とみる。また、総額7億5,000万ユーロの経済再建基金を各国に割り当てるに当たっては、景気後退幅を主な基準とすべきと提案した。

スロバキアのマトヴィッチ新首相はEUの計画に満足の意を示したが、経済再建策をめぐる今後の議論では他のV4諸国と連携する方針を明らかにした。

ポーランドのモラヴィエツキ首相は、基金による支援の条件で高度な柔軟性を確保しなければならないと強調し、中欧地域では高速道路や鉄道の整備といったインフラ投資が優先されると付け加えた。また、基金への資金拠出については、経済力に応じて加盟各国が累進性で負担すべきと説いた。

ハンガリーのオルバン首相は、EUの経済再建計画で加盟国が一致するまでにはまだまだ時間がかかるとの立場で、欧州委員会案には多くの修正が必要している。

2021~27年次期EU中期予算に関して4カ国は、加盟各国の拠出額を「公正」に定めるべきとの立場で一致した。富める国が貧しい国の障害になってはならないと主張している。

また、バビシュ首相とモラヴィエツキ首相は、EU予算の配分では、貧しい国から富める国へ流れる配当金額も考慮に入れるよう提案している。