ハンガリーのオルバン首相は15日、北西部のジュールに独高級車大手アウディが持つ工場を訪問し、同工場のフル稼働を保証するため金銭的支援を実施する用意があると言明した。アウディをコロナ危機後の景気回復のカギを握る企業と位置付けての発言だ。内容については「協定締結を通じて雇用を守れる」としたが、詳細は明らかにしていない。アウディはコメントを避けている。
首相は、「ハンガリーの主要メーカーの生産がコロナ危機前のレベルを超えるまでに最長2年かかる」と話し、同国経済の屋台骨である自動車産業の回復が迅速には進まない可能性を示唆した。
地元MTI通信によるとジュール工場では15日から3シフト制の通常操業に移行した。しかし、アウディのハンガリー事業責任者であるディトナー氏は、「生産台数が依然として危機前の水準を大きく下回っている」と話している。
アウディのハンガリー子会社は売上・輸出高で同国のトップクラスにある大企業だ。昨年末現在の従業員数は1万2,807人。昨年の生産実績はエンジンで197万基、自動車で16万4,817台に上った。アウディの対ハンガリー投資残高は115億ユーロを上回る。