露ネット通販大手のアリエクスプレス、数年内のIPOを計画

ロシアのネット通販大手アリエクスプレス・ロシアは2022年度中に総取扱高(GMV)100億ドルの達成を目指す意向だ。セルゲーエフ最高経営責任者(CEO)がこのほどロイター通信に対し述べたもので、今後3年から5年以内に新規株式公開(IPO)を行う可能性も示唆した。

露VTB銀行の英子会社VTBキャピタルによると、アリエクスプレス・ロシアの2019年のGMVは35億ドルで、ロシアの電子商取引(EC)市場におけるシェアは12%~12.5%。同社のGMVに対する国内取引の割合は小さく、越境取引の2,000億ルーブルに対し国内は360億ルーブル(4億4,290万ユーロ)にとどまっている。このため同社は国内の販売事業者の割合を現在の20%から50%まで引き上げる方針だ。

アリエクスプレス・ロシアは中国のEC大手アリババと、ロシアの無料メールサービス大手メールルー(Mail.ru)、携帯通信大手メガフォン、国家ファンドのロシア直接投資基金(RDIF)の合弁企業。同社の通販サイトの1つ「Tmall」の2019年売上高は前年比162%増の360億ルーブル(4億4,290万ユーロ)で、ロシア国内では6位に付けている。目下、新型コロナウイルスの流行に伴うネット取引の増加を受け物流部門への投資を拡大している。

露最大手行ズベルバンクの投資銀行部門であるズベルバンクCIBによると、同国の地理的な大きさを考慮すると、スケールメリットを享受するにはロシアのEC市場の大手4社(アリエクスプレス・ロシア、ワイルドベリーズ、オゾン、ベル)のうちいずれかの統合が必要になるとの見通しだ。アリエクスプレスについては、越境取引のGMVを成長させつつ「Tmall」の独立性を高めて収益の上がるサイトにしていくべきとの見方を示す。(1RUB=1.50JPY)

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