欧州委がレムデシビル3万人分を確保、ギリアドから6300万ユーロで調達

欧州委員会は7月29日、新型コロナウイルスの治療薬として、米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズから抗ウイルス薬「レムデシビル」3万人分を購入する契約を結んだと発表した。契約額は6,300万ユーロ。8月から欧州連合(EU)加盟国と英国で重症患者への投与を開始する。

レムデシビルはEUで唯一、正式に承認されている新型コロナの治療薬。欧州医薬品庁(EMA)は6月末、新型コロナで肺炎を発症し、酸素吸入が必要な12歳以上の患者に投与する治療薬としてレムデシビルの承認を勧告し、欧州委員会が7月3日に承認した。欧州委は承認に先立ち、ギリアドとの間で調達に向けた交渉を進めていると説明していた。

レムデシビルは米国と日本の薬事当局も新型コロナの治療薬として既に承認済み。米政府は6月末、ギリアドとの交渉で7月~9月の生産分のうち92%に相当する約50万回分を確保したと発表。その後、英国とドイツもそれぞれ自国向けに十分な量を確保していると表明していた。

ロイター通信によると、EUがギリアドと結んだ契約に基づく1回当たりの価格は約345ユーロ。重症患者1人に対して6回分の投与を想定しており、これはギリアドが富裕国向けに設定した患者当たり2,340ドルの相場とほぼ一致している。

欧州委のキリアキデス委員(保健衛生・食の安全担当)は「欧州委は安全で有効な治療薬の確保に向け、あらゆる手段を講じていく」と強調。今後の感染状況を見極めながら、10月以降にレムデシビルを追加購入する方向で調整を進めていると説明した。

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