ポーランド競争当局(UOKiK)は3日、ロシア国営ガスプロムに対し罰金2億1,300万ズロチ(5,000万ユーロ)を科す決定を下した。ロシアとドイツを直接結ぶ天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の敷設プロジェクトに関する調査にあたり、UOKiKに協力しなかったためと説明している。ガスプロムは決定を不服として裁判に訴えることも辞さない構えだ。
UOKiKは2018年、ガスプロム及びプロジェクトに参加する西欧5社(仏エンジー、独ユニパー、墺OMV、英蘭シェル、独ヴィンタースハル)に対し、ポーランドの許可なしにプロジェクトを推進した疑いで調査を開始した。欧州連合(EU)の規定によると、特定の市場に影響する取引について、取引にかかわる企業は当該国の競争当局に報告し、その指示に従うことが義務付けられている。しかし、ガスプロムはノルド・ストリーム2に関連する書類提出を求めたUOKiKの要請に応じなかったという。
ガスプロムはこれに対し、「提出が求められた書類は独占禁止違反捜査とは関係がなく無効」とし、訴訟を含めた対応を検討する方針を明らかにした。
ポーランドは自国を迂回してロシア産天然ガスを西欧に供給するノルド・ストリーム2の敷設に強く反発している。UOKiKはエンジーに対しても昨年、やはり関連書類を提出しなかったとして1億7,200ズロチの罰金を科す決定を下した。
ポーランドの懸念をよそに、パイプライン建設は順調に進んでおり、敷設工事は160キロを残すのみとなっている。工事に必要なデンマーク当局の承認を受け、アナリストらは3カ月前後で敷設が完了するとみている。(1PLN=28.32JPY)