ハンガリーがAI振興を強化、「知識経済」への転換を見据え

ハンガリーが人工知能(AI)などの新分野に向けたイノベーション政策を打ち出している。とりわけAIの分野では産官学のフォーラムを発足させ、行動計画の策定や国立研究機関の設立を計画するなど政府や産業界の動きが活発化している。政府は同分野への注力を通じて経済レベルを引き上げる方針だ。

イノベーション技術省によると、AIの振興によりハンガリー経済は2030年までに14%押し上げられる見通しだ。同省のパルコビツ大臣によると、同国は知識経済という経済発展の新しい段階を見据え、カギとなるAIの活用に向けた体制を整えようとしている。

2018年秋には同省主導の下、産官学の協力フォーラム「AI協議会」が発足した。同協議会はAIの概念やその導入、実装、社会での受容などを議論するもので、AIの開発と利用でハンガリーが欧州をリードすることを目的としている。当初70だった参加団体は現在、250まで増加した。同協議会はこれまでに各企業のAIに対する取り組みを紹介するポータルサイトを立ち上げたほか、AIの国家戦略の策定に関与している。この国家戦略はAIの法的枠組みや研究開発、国産化や産業界による実装の支援について言及したものとなる見通しだ。

政府は昨年10月、「AI行動計画」を公表し、AIの研究開発強化や関連教育の充実、データ共有の体制などを含むインフラ整備を図っていく方針を明らかにした。研究開発を促進するため「国立AI基礎研究所」を設置するほか、AIに関連する分野を学ぶ学生の数を人口の約1%に相当する10万人まで増やすことなどを掲げている。また公共部門が持つデータの活用促進を目的とする「国立データ資産庁」を設立する予定だ。

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