大統領選挙結果をめぐりベラルーシ情勢が緊迫するなか、ハンガリーのシーヤールト外相も遊んではいられない。16日と17日のフェイスブックへの投稿では、「欧州諸国の外相や外務高官と電話で討議した」と話した相手の名前を列挙し、「外務省と首相府の電話線が熱くなるほど」と首相と自分の働きぶりを強調した。同じく投稿された写真には、外相がオフィスで電話する姿、会議室でスマホを見つめる姿がうつる。これぞ「国民の下僕」、政治家の鏡……と言いたいところだが、事はそれほど簡単ではない。
というのも、ハンガリーの数少ない中立系メディア「アートラーツォー」の独自取材で外相が16日、豪華ヨット「レディMRD」に乗り、アドリア海を航行していたことがばれてしまったのだ。外務省は「外相はクロアチア休暇中にも仕事をしている」と説明したが、少なくとも写真が「嘘」であることがわかり、その信用性にキズがついた。さらに、新型コロナ流行を受けてオルバン首相が国民に「国内でバカンスを過ごす」よう勧めた以上、外務大臣が外国に出かけたとなると、政府のイメージも悪くなる。
アートラーツォ―の取材によると、シーヤールト外相は12日にオーストリアのプライベートジェットでクロアチアのスプリトへ飛び、空港のすぐ近くにある港でレディMRD号に乗り込んだもようだ。このヨットの持ち主であるシーイ氏は「ハンガリーで4番目に裕福」といわれ、ハンガリーの公共入札で多くの建設工事を受注している。そういう意味でも「アドリア海バカンス」は後を引く可能性がある。