欧州連合(EU)は8月27~28日に開いた外相会合で、ベラルーシのルカシェンコ大統領が6選を決めた今月9日の選挙で政権による不正があったとして、関与した当局者ら20人程度を対象に、資産凍結などの制裁を科すことで合意した。近く対象者が公表される見通しだ。
EUのボレル外交安全保障上級代表は会合後の記者会見で、選挙結果の改ざんや反体制派による抗議デモの弾圧を巡り、「高い政治レベル」にある20人程度の当局者らに対し、資産凍結やEUへの渡航制限などの制裁を科す方針で一致したと述べた。制裁の対象にルカシェンコ氏自身が含まれるかどうかは言及を避けたが、政権側が反体制派への弾圧を続ければ制裁の対象を拡大する必要があるとの考えを示した。
ボレル氏はルカシェンコ政権に対し、EUやロシアが加盟する欧州安保協力機構(OSCE)の仲介のもと、事態打開に向けて反体制派との対話を進めるよう要求。そのうえで「ベラルーシの将来を決めるのはベラルーシ国民だ」と述べ、介入をちらつかせるロシアをけん制した。
一方、外相会合では、東地中海でガス田開発を進めるトルコへの制裁を検討する方針で一致した。9月下旬のEU首脳会議で具体策を協議する。
東地中海の資源開発を巡っては、トルコが今月に入り、ギリシャやキプロスが権益を主張する海域でガス探査に踏み切ったことで緊張が高まっている。ボレル氏は会見で「EUの利益を守る」と強調。このまま緊張状態が続いた場合、資産凍結やEUへの渡航制限といった個人への制裁に加え、トルコの船舶に対してEU内の港湾施設の利用を禁止したり、物資の供給停止などの制裁措置を導入する用意があると説明。資金調達など経済制裁を検討する可能性も示唆した。
ロイター通信によると、トルコ外務省の報道官は「トルコが自国の領海内でガス田の探索を行うことについて、EUが中止を求めるのは越権行為だ」と強く反発した。