北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は3日、東地中海の資源開発を巡って対立する加盟国のトルコとギリシャが、軍事的な衝突を回避するための協議を始めることで合意したと発表した。欧州連合(EU)はガス田開発を進めるトルコに対して制裁の検討に入っており、NATOの仲介による対話が緊張緩和につながるか注目される。
東地中海ではトルコが7月に入り、ギリシャとキプロスが権益を主張する海域でガス探査に踏み切ったことで一気に緊張が高まった。その後、トルコとギリシャがそれぞれ艦船を派遣して軍事演習を行ったり、トルコがガス探査を進めている海域で双方の戦闘機がけん制し合うなどの事態に発展した。
ストルテンベルグ氏によると、トルコとギリシャは「東地中海における事件・事故のリスク軽減を目的とした軍事衝突回避メカニズム」を構築するため、NATOの仲介による協議の開始に合意した。緊急事態が発生した際、両国の軍が直接連絡を取るための仕組みづくりなどが話し合われるとみられる。
ストルテンベルグ氏は「ギリシャとトルコはともに貴重な同盟国であり、NATOは安全保障に関わる共通の問題について協議する重要な場だ」と強調した。